職場のストレスが健康や生産性に悪影響を及ぼすことがあります。
そんな時、マインドフルネスが役立つかもしれません。
職場のウェルビーイングを考えてみましょう。
職場の持続的なストレスとその影響
仕事上のストレスは従業員にとって避けられない現実です。
これらのストレスは一時的な不快感として感られるだけでなく、同じような状況が続く場合には心理的、身体的な健康にも影響が及びます。
職場ストレスの長期的影響
長く続くストレスは、不安やうつ病の症状を引き起こすことがあり、心疾患や高血圧のリスクを高めます。
これらの健康問題は、従業員の仕事の効率を下げ、欠勤が増え、職場の雰囲気も悪くなることがあります。
短期的なストレス対策の限界
多くの組織では、ストレス対策を取り入れています。
例えば、作業負担を一時的に減らしたり、ストレス管理のワークショップを開催するなど。
これらはとても役立ち、安心感をもたらしてくれます。
しかし同じような問題が再発し、従業員が同じストレスに再び直面する場合は、根本的な問題や職場のストレスの原因にアプローチする、次の一手が必要です。
医療費がかさみ、生産性が低下する前に「賢い」選択を
ストレスが原因で発症する疾患、例えば心疾患や高血圧などは、生活習慣の改善や薬物治療が必要とされます。
またそれにかかる医療費は個人だけでなく、組織全体にも経済的な負担をもたらします。
また、個人が健康問題によって仕事に集中できないと、組織の生産性低下を招くことが懸念されます。
長期的な視点でこれらの現状を考慮すると、最も賢いアプローチは「予防」に投資することです。
ストレスの原因を特定し、適切なストレス管理の技術を身につけることが、心身の病を防ぐ上で非常に重要です。
職場でのマインドフルネスカルチャーの構築
マインドフルネスの日々の実践が個々のストレスレベルを軽減し、全体的なウェルビーイングを向上させることは明らかです。
しかし個々の努力を超え、全社員が共有できる健康な職場環境を築くには、組織的な取り組みが求められます。
マインドフルネスのエビデンス
マインドフルネス瞑想の技術を活用するプログラムの介入により、例えば以下のような研究結果が示されています。
ストレスホルモンが減る
マインドフルネスのトレーニングにより、コルチゾールの産生が低減することが報告されています。
コルチゾールとは、私たちの体がストレスに反応して副腎から分泌されるホルモンです。
しばしば「ストレスホルモン」とも呼ばれ、私たちの体が危機的な状況に対応するために重要な役割を果たします。
普段、正常な状態では、コルチゾールは体の自然なリズムに従って一日の中で異なる時間に異なる量が分泌され、朝に最も高く、夜になるにつれて減少します。
そうして、「戦うか逃げるか」の状態に備えているのです。
生物学的には、糖の代謝、血圧の調節、免疫機能の強化など、多岐にわたる生理的プロセスに関わっています。
しかし、長期間にわたるストレスが続くと、コルチゾールのレベルが異常に高まったり、適切に調整されなくなることがあります。
これによって、慢性的な疲労感、不安、高血圧、糖尿病、うつ病など、さまざまな健康問題を引き起こしてしまいます。
そのため、コルチゾールの適切な管理と調節には、ストレスを健康的にコントロールし、全体的な健康とウェルビーイングを維持することが非常に重要になってきます。
自律神経のバランスが改善する
自律神経には大きく二つに分けて「交感神経」と「副交感神経」があります。
交感神経は体を活動的な状態にし(「戦うか逃げるか」の反応)、副交感神経はリラックスや回復を促す作用があります。
普段、その自律神経は私たちの意識とは無関係に、体のさまざまな機能を自動的に調節するよう働いてます。
例えば、心拍数、消化、呼吸などです。
そのバランスが崩れると、心身の不調をきたしてしまいます。
一方、マインドフルネスのトレーニングにより自律神経のバランスが改善することが報告されています。
この自律神経のバランスの改善を測るために、心拍変動がどれだけ規則的かという「心拍変動の一貫性」が評価されています。
つまり、いくつかの研究結果より、マインドフルネスを実践することで心臓の鼓動がより健康的なリズムを取り戻し、ストレスに対処する体の能力が向上することが示唆されています。
【参考文献】
Heckenberg RA, Eddy P, Kent S, Wright BJ. Do workplace-based mindfulness meditation programs improve physiological indices of stress? A systematic review and meta-analysis. J Psychosom Res. 2018 Nov;114:62-71.
職場にマインドフルネスを取り入れる方法
マインドフルネスの実践
これらのマインドフルネスの恩恵を受けるためには、個々の従業員が日常的にマインドフルネスを実践することを奨励し、習慣化することが重要です。
例えば、ワークショップで学んだテクニックを日々の業務開始前に短時間実践することや、困難な業務を前にしてマインドフルネスの呼吸法を用いるなど、具体的な実践方法を提案します。
また、従業員が互いにマインドフルネスの経験を共有することで、学びを深め、モチベーションを高めることができます。
【参考】こちらの記事の中で、今すぐ簡単に取り組める【実践編】職場でマインドフルネスを活用する3つの方法を紹介しています。
MBSRプログラムの導入
さらに深いマインドフルネス実践のためには、Mindfulness-Based Stress Reduction(MBSR)プログラムの導入を検討することをお勧めします。
MBSRプログラムは、システマティックなトレーニングを提供し、参加者がストレス、痛み、病気との向き合い方を根本から見直すことを助けます。
このプログラムに参加することで、従業員はマインドフルネスを日常生活に根付かせ、職場でのストレスに対処するためのさらに効果的なスキルを身につけるきっかけとなり得るでしょう。
職場でのマインドフルネス実践は、単にストレスを管理する手段以上のものです。
職場のウェルビーイングを根本から向上させ、従業員一人一人がより充実した職業生活を送るための持続可能な戦略。
今こそ、マインドフルネスの実践やMBSRプログラムを通じて、健康で生産的な職場環境を実現するための一歩を踏み出しましょう。
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