無自覚にも女性は仕事上コミュニケーションが問題で、実力を十分に発揮できていないという事態が生じている可能性があります。
なぜなら研究によると、女性は男性に比べて自己への優しさ(セルフコンパッション)が低く、自己批判が多い傾向にあることが示唆されているのです。
この自己批判的な態度は、職場でのストレスやコミュニケーションの問題に対する感受性を高めることがあります。
そこで本記事では、マインドフルネスとセルフコンパッションを通じて、これらの課題をどのように乗り越えるかを探ります。
マインドフルネスとセルフコンパッション
マインドフルネスとセルフコンパッションは、心の健康を促進するためにしばしば連携して用いられる二つの重要な概念です。
これらは個々にも効果がありますが、一緒に用いることでその効果は増大します。
以下に、これらの概念の関係性をわかりやすく解説します。
マインドフルネスとは
マインドフルネスは、意識的に現在の瞬間に集中し、判断を保留しながら、自分の感覚や感情、思考を受け入れる脳のトレーニングです。
これは瞑想の形式の一つであり、自分の内面の体験に注意を向けることで、瞬間に対する自動的な反応を減らし、より意識的な選択を可能にします。
セルフコンパッションとは
セルフコンパッションは、自己の苦痛や挑戦に対して同情的で支持的な態度を持つことを指します。
もし目の前に、悩んでいる友人がいたら、優しい言葉や態度で接するでしょう。
その時と同じように、自分自身に接することを言います。
マインドフルネスとセルフコンパッションの相乗効果
自己批判や苦しみに対して優しさと理解をもって接する能力(セルフコンパッション)は、マインドフルネスの実践を通じて強化されることが多いです。
またその逆もあり、セルフコンパッションを意識的に取り入れることで、マインドフルネスの実践がより深まり、心の苦痛に対処する能力が向上します。
例えば、マインドフルネスを通じて怒りや不安を認識した際、セルフコンパッションはそれらの感情を非難することなく受け入れ、自己批判を避けるのに役立ちます。
つまり、マインドフルネスとセルフコンパッションは相補的な関係にあるのです。
マインドフル・セルフコンパッションの応用
マインドフルネスとセルフコンパッションの相乗効果を発揮させる方法について、具体的なシーンについて解説します。
職場での緊張やフラストレーションを感じた時
その感情を否定せず、受け入れます。
これはマインドフルネスの観察の技術を使って、感情の源を理解し、その存在を認めることから始めます。
自己批判的な声で頭がいっぱいになったら、友人に対するように自分自身に優しく話しかけます。(セルフコンパッション)
たとえば、「今の私はベストを尽くしている」「これは誰にでも起こりうることだ」と自分に言い聞かせることができます。
厳しいフィードバックを受けた時
防御的にならずにオープンな態度を保ちます。
自己への共感を持ちながら、提供された情報から学び、成長する機会として捉えます。
セルフコンパッションを持つことで、批判を個人的な攻撃ではなく、自己改善のための具体的なアドバイスとして受け止めることができます。
フィードバックを与える時
自分の意見や感じたことを伝える際には、相手の立場を考慮し、批判ではなくサポートと成長を促す言葉を選びます。
マインドフルなコミュニケーションを通じて、相手に尊重と理解を示しながら、具体的で建設的なフィードバックを提供します。
まとめ
女性は男性に比べてセルフコンパッションが低く、自己批判が多い傾向にあります。
しかし、マインドフルネスをもとにセルフコンパッションを育むことができます。
例えば職場でのストレスや対人関係の問題に直面した時、マインドフルネスはその瞬間の感情や状況を正確に捉えるのに役立ちます。
さらにその上で、セルフコンパッションを用いて、その状況に自己批判や過度の内省を加えずに、優しく対処することができます。
このプロセスは、感情的な困難を乗り越え、より効果的に職場で機能するのに役立ちます。
このようにマインドフルネスとセルフコンパッションを、心の健康を保ち日常生活の挑戦に対処するのに有効なツールとすることで、自己認識を深め、より強い内面の強さと幸福感を育むことができます。
ぜひ職場でのコミュニケーションに活用してください。
【参考文献】
L.M.Yarnell et al, Meta-Analysis of Gender Differences in Self-Compassion. Self and Identity. 2015;14(5):499-520.