マインドフルネスとは、瞬間瞬間の体験に注意を向ける脳のトレーニングです。
このアプローチを体系化したのがMBSR(Mindfulness-Based Stress Reduction)プログラムで、1979年にマサチューセッツ大学医学部名誉教授のジョン・カバット・ジン博士によって開発されました。
ストレスが多い現代社会において、このプログラムは、精神的・身体的健康を向上させる手段として、教育機関や医療で広く取り入れられています。
MBSRの科学的根拠とポジティブな影響
MBSR(Mindfulness-Based Stress Reduction)は、1979年以来、多くの科学的研究によってその効果が確認されています。
マインドフルネスは、ストレスや不安を軽減し、全般的な幸福感を高めると共に、集中力の向上や感情の安定に寄与することが報告されています。
メンタルヘルスへのポジティブな影響
2015年にメンタルヘルスの改善に焦点を当て、24件の学術論文を系統的に分析した研究があります。
そこで以下の点において、特にポジテジブな影響が示されました。
・感情的疲労や燃え尽き症候群の予防
・ストレスの軽減
・精神的苦痛の管理
・うつ病や不安の改善
さらに職場においては以下のような働く環境に好影響を与える要因が多く確認されました。
・職場でのストレスレベルの低下
・自己への思いやり
・睡眠の質の向上
・リラクゼーションの改善
【参考文献】Smith, J., & Zautra, A. (2003). Effects of mindfulness-based stress reduction on psychological distress in medical students. Journal of Behavioral Medicine, 26(6), 458-474.
QOL向上に寄与
2014年までの合計29件の研究をメタ分析した報告があります。
その中では上記のようなメンタルヘルス以外に、生活の質(QOL)の向上に対しても中程度の改善が見られたことが指摘されました。
【参考文献】Khoury, B., Sharma, M., Rush, S. E., & Fournier, C. (2015). Mindfulness-based stress reduction for healthy individuals: A meta-analysis. Journal of Psychosomatic Research, 78(6), 519-528.
脳の驚くべき変化
マインドフルネス瞑想の効果を評価するために、複数のfMRIおよびMRI研究を分析した報告があります。
研究によると、瞑想を行うことで、特に以下の部位に変化が見られました。
・前頭前皮質
’帯状皮質
・島
・海馬
上記の脳領域の活動や体積が増加しました。
これらの変化は、ストレスの管理、感情の調節、不安の低減に直接関連しています。
さらに、扁桃体の活動は減少し、感情への反応が改善されました。
総じて、これらの変化は、感情の安定化やストレスへの耐性を高めるのに寄与していると考えられます。
【参考文献】Gotink, R. A., Meijboom, R., Vernooij, M. W., Smits, M., & Hunink, M. G. M. (2016). 8-week Mindfulness Based Stress Reduction induces brain changes similar to traditional long-term meditation practice – A systematic review. Brain and Cognition, 108, 32-41.
世界の名門大学におけるマインドフルネスの取り組み
マインドフルネスに基づくストレス軽減(MBSR)プログラムが世界のトップ大学でどのように取り入れられているかを見ることは、その影響の大きさを理解する上で非常に有効です。
ハーバード大学
例えば、ハーバード大学では、学生や教職員を対象にしたMBSRコースが定期的に開催されており、参加者は心の静けさを得ることで、日常生活のストレスを管理しやすくなると報告しています。
マサチューセッツ大学
MBSR研究者の話をご覧になれます。
↓ジョン・カバット・ジン博士ご本人も登場します。
*最新情報や詳細は各大学のサイトでご確認ください。
日本におけるMBSRの可能性
このように、マインドフルネスに基づくストレス軽減プログラム(MBSR)は、世界の多くの教育機関や企業で効果が認められています。
しかし日本ではその導入がまだ始まったばかりです。
日本人のためのMBSR
日本独自の社会的ストレスや労働環境に対応するため、MBSRの導入は非常に有益であると考えられます。
特に、長時間労働や過度のストレスが常態化している職場環境において、MBSRは従業員の心の健康を守り、生産性向上にも寄与するでしょう。
重要なのは、これらのプログラムをトレーニングを受けた講師から、母国語である日本語で受講することです。
言語の壁がないことで、より深く内容を理解し、日常生活にマインドフルネスを取り入れやすくなります。
実際に、日本国内でもMBSRの認定講師による日本語コースが開設されており、これによってプログラムのアクセスが一層容易になっています。
コース開催日程や受講に関する相談は、下記「お問い合わせ」ボタンよりお気軽にご連絡ください。